日本におけるがんの動向

がんは現代社会では日本人の2人に1人がかかると言われています。ではがんとはどのような病気なのかよくわからない方も多いと思います。ここではがんと、その発生と転移について理解を深めて頂きたいと思います。

がんとは?

正常な細胞とは違い、遺伝子の突然変異によって生まれる死なない細胞のことです。正常な細胞は必要に応じて増える→古くなった細胞が脱落する→新しい細胞に入れ替わるといったサイクルであり、それは遺伝子によってコントロールされています。
しかし、がん細胞は、体や周囲の状況を無視して増え続けます。そして周囲の大切な組織を圧迫したり、壊したり、機能障害を引き起こします。
体に悪さをするがん細胞が悪性腫瘍です。

がんの発生のメカニズム

がんは老化による遺伝子の変化 加齢に伴うホルモンバランスの変化、生活環境(ストレス)や環境因子(発がん物質)の蓄積、免疫低下による感染症などで発生するといわれています。がん細胞は、正常細胞の遺伝子が2個~10個程度の傷がつくことにより、発生すると言われています。そしてその細胞が増殖を促し続ける状態になる場合がありますが、このような遺伝子は、がん遺伝子と呼ばれています。
これらの遺伝子の傷は一度に誘発されるわけではなく、長い間に徐々に誘発されるということもわかっています。

がん発生部位

がんは基本的に、すべての臓器、組織に発生すると言われます。

その中で大きく分けて3つに分類できます。

  1. 上皮細胞(消化管や気道などの内側や体の表面、臓器などをおおう細胞)でがんが発生するもの
    肺がん、乳がん、胃がん、大腸がん、子宮がん、卵巣がん、頭頸部がんなど
  2. 非上皮性細胞(骨や筋肉などを作る細胞)でがんが発生するもの
    骨肉腫、軟骨肉腫、横紋筋肉腫、平滑筋肉腫、線維肉腫、脂肪肉腫、血管肉腫など
  3. 血球(白血球などの、血管や骨髄、リンパ節の中にある細胞)でがんが発生するもの
    白血病、悪性リンパ腫、骨髄腫など

がん転移のメカニズム

がんが転移するということはがん細胞が最初に発生した場所から血管やリンパに入り込み、血液やリンパの流れに乗って別の臓器や器官に移動し、そこで増殖することを言います。
そして、転移の種類として最初に発生した原発がんと同じ臓器や、周辺に発生するものを局所転移、癌細胞が最初に発生した場所近くのリンパ節、あるいは組織で増殖して発生するものを領域転移といいます。またがんがもとあった場所から離れた臓器に転移することを 遠隔転移 と言いますが、遠隔転移はおおむね血行性転移(血管やリンパの流れにがん細胞が乗ってあちこちに転移してしまうこと)によって発生します。

https://www.gan-metastasis.net/tennikaisetu/tennisikumi.html

・がん再発のメカニズム

再発とは治療後に再び同じ性質を持つがんが発生することを指します。
そして再発の種類として①局所再発は最初にできたがんと同じ場所やその周辺に再発する一般的にイメージされる「再発」といえばこのことです。②領域再発とは治療で取り切れなかったがん細胞が、最初にがんが発生した部位周辺のリンパ節や組織で生育する再発を指します。③遠隔再発とは最初にがんが発生した部位から離れた場所で残ったがん細胞が生育する再発です。