現在二人に一人はがんに罹患する時代です。その中で病気になっても仕事を続けたいと希望する方々は多くおられます。そしてがんの治療をしながら仕事を続けられるか不安を感じておられる方々も多くおられるのが現状でしょう。ここではがんになっても仕事をしながら治療を続けていくために必要な事項をまとめてお知らせしています。

1. まず主治医へ現状を確認する。

治療内容の確認(手術もしくは薬物療法、放射線治療など)

手術の場合

・入院期間、療養期間など回復までの期間を確認する

・治療後禁忌事項や仕事に差し支えそうな事で禁止事項があるかなど確認する

・退院後の治療スケジュールを確認する

・入院費用、手術費用を確認する

薬物療法、放射線治療の場合

・入院が必要か、必要なら何日間くらいか確認する

・通院の場合週何日か、1回何時間かかるのか確認する

・治療の副作用を確認する

・治療後に仕事に戻ることが出来るレベルかを確認する

・治療の費用を確認する

2. 会社へ報告する前に自身で確認する

就業規則、会社のルールを確認する

・会社には就業規則(従業員が10人以上の会社)、もしくは会社により従業員のルールが決められています。それにより年次有給休暇の日数や取得方法、休職制度、復職制度など事前に確認す津頃をお勧めします。契約社員(有期雇用契約)などの場合は、雇用契約書や労働条件通知書を確認してみましょう。

主治医に診断書、意見書をもらう

厚生労働省では平成28年「治療と仕事の両立支援」の基本方針や「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」を作成しました。そこには、両立支援のための情報を、企業と医療機関が円滑にやりとりするためのマニュアルがあります。

その中には患者さんが記入する「勤務情報提供書」を医療機関に提出し、主治医がそれを見て、職場での配慮事項などを記載した「意見書」を作成し、患者さんに渡します。患者さんはその意見書を企業へ提出し「両立支援プラン」を作成します。それにより病後の仕事を決めていきます。ただし会社により治療と仕事の両立支援が整っていない場合もありますのでしっかり会社へ確認をしましょう。

厚生労働省 事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン(全体版)令和5年3月改訂版
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001088186.pdf

3. 会社へ病気のことを伝える

いつ伝えるか

病後に仕事をする場合今まで通りの仕事が出来るとは限りません。そのため事前に会社へ病気のことを報告して復職の時期や業務上の配慮をしてもらわなければならないことが多くあります。そこで主治医から治療方法やスケジュールの説明を受けた後治療を開始するまでの間に会社へ報告することが望ましいです。

退院後、自宅療養中に復職の目途がたったら、復職の時期や配慮してほしい内容などを伝え、必要な手続きを確認します。ただしご自身でお話しづらい場合は治療中に気をつけることなどの細かい質問が省ける点から主治医からの診断書や意見書等を参考にしながら話をすることもお勧めします。

どこに、誰に伝えるか

まずは直属の上司に伝えることをお勧めします。直属の上司は身近で仕事内容を把握していますので理解をしてもらうにも協力をお願いするには1番の相手です。また業務の調整についても相談に乗ってもらうこともあるかもしれません。

また、同僚にも仕事復帰後に協力を求めなければならないかもしれません。従って身近な同僚には伝える必要があるかもしれません。伝えにくい場合上司から伝えてもらう方法もあります。どうしても伝えたくない場合は上司などに事前に伝えておくことをお勧めします。

何を伝えるか

会社が知りたいことは(1)お休みの期間、通院期間どのくらいの期間どのくらいの時間をとられるか(2)現在の仕事が可能か(3)配慮、協力ぐらい(4)本人の意思

 話し方としては現状から出来ることと出来ないことをはっきり伝えることが大切です。

抗がん剤治療をすると吐き気、眠気が来ることがありますので配慮が必要な場合が出てきます。このように仕事に支障をきたす場合そうでない場合をしっかり伝えてください。

不利益を受けた場合

会社は病気を理由に従業員を解雇することはできません。しかしながら会社によっては法令を知らず解雇を通告したり、仕事の調整、協力等を行わないといった会社もあるかもしれません。このような不利益を受けた、あるいは受けそうなときは、労働基準監督署に併設している総合労働相談コーナーへ相談することも一つの方法です。

総合労働相談コーナーのご案内
https://www.mhlw.go.jp/general/seido/chihou/kaiketu/soudan.html

厚生労働省 事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン(全体版)令和5年3月改訂版
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001088186.pdf

文書の構成について
https://www.pref.nagasaki.jp/shared/uploads/2022/04/1649047