放射線とは、空間や物質中を波のかたちや粒子でエネルギーを伝播するものを総称する言葉です。電磁波(X線、γ線など)と粒子線(原子を構成する粒子:電子、陽子、中性子など)の2種類に大きく分けられます。
腫瘍の成長を遅らせるために、あるいは縮小させるために放射線を使用する治療法です。がんに侵された臓器の機能と形態の温存が出来ますまた、がんの局所療法であるため、全身的な影響が少なく、高齢者にも適応できる患者にやさしいがん治療法です。
重粒子線 | 陽子線 | |
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がん細胞への作用 | 直接作用 100 keV/μm (高LET放射線) | 間接作用 1 keV/μm (低LET放射線) |
治療の際の前提条件 | ・病巣が限局して広範囲でないこと ・治療対象部位に放射線治療を受けていないこと ・安静な状態で30分間(目安)横になっていられること | |
治療対象がん | 無関係に動く胃のような臓器と、袋状の臓器のがん、血液のがん(白血病など)、広範囲に転移したがん、過去に放射線治療を受けたがん、最大径が15cmを超えたがん | 頭頸部、脳腫瘍、肺、肝臓、前立腺、膀胱、食道、膵臓などの原発性がんに加え、直腸がん術後の骨盤内再発や、単発性の転移性腫瘍(肝転移、肺転移、リンパ節転移)、小児がん(白血病を除く)、骨軟部腫瘍 |
副作用 | 頭頚部がん、肺がん、肝がん、膵がん、子宮がん、直腸がん(骨盤内再発)、前立腺がん、骨軟部腫瘍、眼球腫瘍、涙腺がん、食道がん | 陽子線を照射した部位の皮膚炎や、周辺臓器の炎症が出る場合がある。 小児の場合晩期障害の可能性あり |
陽子線治療
陽子線治療とは水素の原子核(陽子)を加速してエネルギーを高めてできる陽子線を治療に使います。陽子線治療は陽子線が持つその物理的特性によって、治療効果が高く、体への負担や副作用が軽いという特徴があります。
陽子線治療の公的医療保険適用になるがん
がんの種類 | 適応条件 |
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小児腫瘍 | |
骨軟部腫瘍 | 手術非適応の場合 |
前立腺がん | 転移がないこと |
頭頸部悪性腫瘍 | 口腔、咽喉頭の扁平上皮がんを除く |
肝細胞がん | がんが直径4cm以上のもの、手術非適応の場合 |
肝内胆管がん | 手術非適応の場合 |
局所進行性膵がん | 手術非適応の場合 |
局所大腸がん | 手術後に再発したもので、手術非適応の場合 |
重粒子治療
重粒子治療とは重粒子とは、炭素イオンのことを指し、目に見えない微細な粒子です。重粒子線治療は、炭素の原子核を光速の約70~80%にまで加速し、これをがん細胞にぶつけることで、がん細胞のDNAを傷つけ、増殖させないようにして死滅させるという治療法です。重粒子線は、人の体内に入ると、放射線量が低いままの状態で、標的のがん細胞のところまで進んでいきます。ある一定の深さで急に線量が高くなるピークがあり、これを「ブラッグ・ピーク」と呼んでいます。重粒子線はブラッグ・ピークに達すると、そこより深い部分にまでは進まないという設定ができます。そのため、正常細胞へのダメージを低く抑えることができます。
https://kcch.kanagawa-pho.jp/i-rock/medical/
重粒子線治療の公的医療保険適用になるがん
がんの種類 | 適応条件 |
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骨軟部腫瘍 | 手術非適応の場合 |
頭頸部悪性腫瘍 | 口腔、咽喉頭の扁平上皮がんを除く |
肝細胞がん | がんが直径4cm以上のもの、手術非適応の場合 |
肝内胆管がん | 手術非適応の場合 |
局所進行性膵がん | 手術非適応の場合 |
局所大腸がん | 手術後に再発したもので、手術非適応の場合 |
局所進行性子宮頸部腺 | 手術非適応の場合 |