がんになったり、がん治療を行うと様々な副作用が起こることがあります。
副作用にも軽かったり重かったりすると思いますが出来るだけ楽におられるように、副作用をがまんしないで薬で抑えたり、適切な対策をとって乗り切りましょう。
がん罹患、がん治療時の副作用
副作用内容 | 症状 | 日常生活 | 対処法 |
---|---|---|---|
脱毛 | 頭皮に痛みやかゆみを感じる人もいますが一時的なものです | シャンプーは刺激の少ないものに | 頭髪が抜けた場合ウィッグ(かつら)や帽子などでカバー |
がんの治療により髪、眉毛、まつ毛などの体毛が抜けることがあります。 | ブラシはやわらかいものに | 眉毛やまつ毛が抜けて気になる場合は化粧でカバーしたり、フレームの太い眼鏡を使用してみる | |
パーマや毛染めはお休みに | あらかじめ短く切っておくのも一つの方法です | ||
しびれ | 指先や足先の感覚が鈍くなったり、しびれやピリピリとした違和感が出ることがある | やけどやけがに気を付ける | 指先の運動やマッサージで血行をよくする |
手袋や靴下で手足を保護する | しびれに痛みを伴う場合は鎮痛薬(痛み止め)を使うこともある | ||
発熱 | 寒気がする、汗をかく、体がだるいなどの症状を伴うこともある | 水分をこまめにとる | 解熱薬や抗菌薬などを使うことがある |
赤い皮疹が出現することがある | 安静にして休養を取る | ||
貧血 | 赤血球が減少したり、消化管などから出血することによって貧血が起こります | ふらつきを感じたときには、すぐにその場でしゃがむ | 鉄剤・ビタミン剤などでの治療また、輸血を行うことがあります。 |
だるい、疲れやすい、めまい、息切れなどの症状が現れます | タンパク質や鉄分を豊富に含む食品を摂取する | ||
体調の範囲で運動やマッサージをする | |||
休息時間を確保する | |||
皮膚の障害 | 湿疹、爪周囲の炎症、皮膚のかゆみなどがでる | 皮膚の清潔、保湿、保護を心がける | 症状に応じて保湿したり、薬による治療をする |
水ぶくれや痛みにより歩行困難になる場合がある | |||
疲労感・だるさ | 疲れやすい、気力が出ないなどの症状が現れる | 調子の悪いときは十分休養をとる | |
発熱性好中球減少症 | 好中球が減少している際に体温が37.5度以上に発熱した状態 | 石けんを用いてしっかりと手を洗う | 抗菌薬などや解熱薬を使うことがある |
速乾式アルコール液で手や指を消毒する | |||
口の中を清潔に保つために、うがいや歯磨きをする | |||
不眠 | 寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚める、朝早くに目が覚める | 無理して寝ようとしない | 必要に応じて痛みなどの症状を取り除く薬や睡眠薬を使う |
痛み | 体を温めたり反対に冷やしたりするなど痛みが和らぐ方法を取り入れる | 鎮痛薬(痛み止め)を使う | |
痛みを感じている部分に負担がかからない姿勢や生活方法を心がける | |||
ほてり・のぼせ・発汗 | ホルモンの分泌が少なくなることによって起こる症状です。 | 体に熱がこもらない環境を整える | 低下したホルモンを薬で補充するホルモン補充療法などがある |
適正体重の維持を心がける | |||
ストレスをため込まないようにする | |||
出血傾向 | 血小板が減少することで、出血しやすい、出血すると血が止まりにくいといった症状が現れます | 転倒やけが、打撲に注意 | |
鼻血や歯ぐきの出血、皮下の出血斑などが起こりやすい | 毛のやわらかいものを利用し、歯ぐきを傷つけないようにする | ||
出血したとき出血した場所をタオルなどで圧迫して止血する | |||
排便時、強くいきみすぎないように | |||
口内炎 | 抗がん剤の作用や感染により口内炎できることがある | 口の中を清潔にする | 炎症を抑えるうがい薬、塗り薬や痛み止めなどが処方されることがある |
吐き気・嘔吐 | ムカムカする、吐きそうなどの症状が現れ、嘔吐することもある | 抗がん剤を投与する日の食事は軽めにする | 吐き気を抑える制吐剤が処方されることがある |
食事を少しづつとり一度に満腹にならないようにする | 吐き気や嘔吐が長く続く時や食事や水分をとれない状態が続く場合には点滴によって水分や栄養補給をする | ||
食事や飲み物はゆっくりとる | |||
油っぽいものや消化の悪いものは避ける | |||
臭いによるムカツキを防ぐには、食べ物を冷やしたり、冷ましてから食べるとよい | |||
リンゴジュースやグレープスルーツジュースを冷やして飲んだり氷を口に含む | |||
食後はすぐに横になるより1時間ぐらい椅子に座って休む | |||
好きなことに集中して気分転換をはかる。 | |||
口内を清潔に保つ | |||
自分にあった味付けや温度をみつける | |||
ゆったりとした服装を心がける | |||
便秘 | 大便の排泄が困難になっている | 水分や食物繊維をとる | 多くの場合下剤、それでも便秘が改善されない場合便秘を生じやすい薬を減らす検討もしてみる |
無理のない範囲で体を動かす | |||
尿が出にくい | 時間を決めて、定期的にトイレに行く | 導尿(カテーテルという管を使って排尿すること)を行うことがある | |
味覚やにおいの変化 | 食べ物の味やにおいの感じ方に変化が表れることがある | 口内を清潔に保つ | 薬による治療 |
口腔保湿剤を使い口内の乾燥予防を行う | |||
食べたいときに食べたいものを無理せず少量ずつ食べる | |||
食欲不振 | 食べられそうなときに食べたいものを口にしてみる | 食べ物や水分をとることができない場合、1日に何度も吐いてしまうような場合にはすぐに担当医師や看護師に相談しましょう。 |
|
冷たいもの、のど越しの良いものなど食べやすいものを選ぶ | |||
少量ずつ、数回に分けて食べる | |||
下痢 | 命に関わる状態になる場合もあるため、速やかに対処することが大切です。 | 水分や経口補水液などの摂取を心がける | 薬腸のぜん動運動を抑える薬、腸への刺激を抑える薬、便の中の水分を吸収して便を固める薬、整腸薬などがあります。 |
消化のよい食品を食べるようにする | |||
肛門の周りの皮膚を清潔に保ち、排便後やさしく拭き取る | |||
十分な休息をとる | |||
リンパ浮腫 | リンパ液がたまってむくんだ状態です | 適度に体を動かして、リンパ液の流れを促す | スキンケアと用手的ようしゅてきリンパドレナージ(手で行う医療的なマッサージ)、弾性包帯や弾性着衣による圧迫療法、弾性着衣などで圧迫した状態での運動を組み合わせた治療を受けます |
保湿などのスキンケアを行い、感染を予防する | |||
肥満を予防する | |||
もの忘れ、認知機能の低下 | もの忘れしやすい、集中力が続かない、同時に複数のことができないなどの症状が起こることがある | 症状についての記録をつける | |
やるべきことなどの、忘れそうなことをメモする | |||
運動やリラクセーションを行う | |||
家族や友人、職場の人と話す | |||
呼吸困難・咳・痰 | 息切れや息苦しさなどの、呼吸をするときの不快な感覚 | 換気をよくし、室温をやや低めに調整する | 原因によって酸素吸入、胸腔穿刺ドレナージ、薬による治療などを行う |
上半身を起こすなど、楽だと思える姿勢をとる | |||
うがいをして口の中をうるおし、痰をこまめに出す | |||
尿がもれる・トイレが近い | 尿がもれる、トイレが近い、尿意を感じてから排尿するまでの時間が短い、排尿したあとも尿が残っているように感じる | 日中に十分水分を取り、夕方以降の飲み物の量を減らす | 導尿(カテーテルという管を使って排尿すること)を行うこともある |
適切な体重を維持する | 薬による治療を行ったり、飲む水の量やトイレに行く時間を調整したりすることがある | ||
便秘を予防する | |||
時間を決めて、定期的にトイレに行く | |||
膀胱訓練(尿意を感じてから5分~10分くらい我慢してから排尿する訓練)をする | |||
骨盤底筋体操をする | |||
せん妄 | せん妄は精神状態の混乱です | 患者さんのいる部屋を静かで適度に明るくし、見慣れた物を配置する | せん妄を引き起こす医薬品の中止または用量の減量 |
低活動型:患者さんは活動的でなく、眠そうだったり、疲れているようだったり、抑うつ状態にあるようにみえます | 患者さんが見える所に時計やカレンダーを配置する | 水分補給による脱水状態の治療 | |
過活動型:患者さんに、不穏(落ち着きのない状態)や、激越が認められます。 | 近くに家族がいるようにする | 薬物による高カルシウム血症(血液中のカルシウム量の過剰)の治療 | |
混合型:患者さんは低活動型と過活動型の状態を交互に繰り返します。 | できるだけ同じ介護者がつくようにする | 抗生物質の投与による感染症の治療 |
抗がん剤治療と眼の症状(静岡県立静岡がんセンター)
https://www.scchr.jp/book/manabi-body7.html
せん妄について(神戸医療産業都市推進機構 がん情報サイト)
https://cancerinfo.tri-kobe.org/summary/detail_view?pdqID=CDR0000062826