治療について

たまたま健診を受けて、もしくは体の不調を感じて検査を受けてがんが発覚するという流れがほとんどだと思います。つまり突然がんに直面し１８０度人生を転換するかもしれない状況に置かれるわけです。不安、恐れ、いら立ち様々な感情に襲われると思いますが、大切なことは　まずご自身をあきらめないこと、もう一つは一人であれこれ考えないことです。人によっては他人に頼ることが煩わしい方もいると思いますが、その場合は専門家に尋ねるくらいのつもりで良いのです。

　がんの治療法は、外科手術、化学療法、放射線療法が三大治療法といわれています。

	外科手術	放射線治療	化学療法
メリット	がんを直接取り除くため、根治（がんが完全に治ること）を目指すことができる	身体への負担が少ない がんの種類によっては外科手術と同じ治癒率をあげている	全身を対象とした治療が可能（転移がんにも適している）
デメリット	臓器の機能が低下したり、後遺症が残ることがある 部位や患者の年齢・持病などにより、適応にならない場合がある	放射線を照射した部位の障害や照射開始後まもない時期に吐き気や全身倦怠感がおこることがある	化学療法だけでは治りにくい 全身的な副作用が起こりやすい

そしてがんの治療は「局所療法」と「全身療法」に大別されます。局所療法はがんそのものに的を絞った治療です病巣が限られている場合に用いられます。全身療法は病巣が複数確認できたり、全身にがん細胞が侵食している場合などに用いられます。

	局所療法	全身療法
治療法の種類	病巣を切除する手術療法	抗がん剤を使用する 化学療法
	放射線を照射してがんを攻撃する 放射線療法	自己の免疫細胞を活性化し使用する 免疫細胞療法
	レーザー治療の一種である 光線力学的療法

がん治療の種類

集学的治療

集学的治療とは、主にがん治療において手術（外科療法）、化学療法、放射線治療、ときには免疫療法などのまだ実験的な治療法も組み合わせて行い、治療することです。広く言えば副作用や合併症を和らげる支持療法 や、心身の苦痛全般を和らげる緩和医療も含まれます 。

手術療法

手術療法とはメスでがん組織を切り取ってしまう治療法です。通常はがんの病巣だけを切りとるのではなく、目に見えないがん細胞が移っている(転移といいます)かもしれない周りの正常組織も含めて切除します。

下記のデータは2022年に厚生労働省が行った「DPC導入の影響評価に関する調査」に基づいて集計した、悪性腫瘍に関する治療実績です。これはデータが出次第今後更新をしていきます。ご参考までにご覧ください。

病院疾病ごとの手術実績

①脳腫瘍

②眼悪性腫瘍

③頭頸部癌

④胸膜悪性腫瘍

⑤心臓悪性腫瘍

⑥食道悪性腫瘍

⑦脊椎悪性腫瘍

⑧黒色腫

⑨乳房悪性腫瘍

⑩甲状腺悪性腫瘍

⑪性器悪性腫瘍

⑫外陰部悪性腫瘍

⑬腎腫瘍

⑭その他悪性腫瘍

がん薬物療法

薬物療法とは、がんを治したり、あるいは、がんの進行を抑えたり、がんによる身体症状を緩和したりすることを目的として行います。薬物療法には化学療法、内分泌療法（ホルモン療法）、分子標的療法などの種類があります。特に細胞障害性抗がん薬を使う治療のことを化学療法ということがあります。他方、がんとその薬物療法による症状をやわらげるために鎮痛剤や制吐剤などを使って症状を抑える治療を支持療法といいます。

薬物療法で使われる薬の種類

薬物療法で使用される薬の種類	薬の作用
細胞障害性抗がん薬	細胞増殖の仕組みに着目し、その仕組みの一部を邪魔することでがん細胞を攻撃する薬
ホルモン療法薬（内分泌療法薬）	ホルモン分泌や働きを阻害し、ホルモンを利用して増殖するがんを攻撃する薬
分子標的薬	がん細胞増殖・攻撃免疫に関わるタンパク質や栄養を運ぶ血管などを標的にしてがんを攻撃する薬です。

薬物療法の副作用について

薬により副作用は異なりますが、吐き気やめまいその他様々な副作用が出る場合があります。そのため生活、仕事に支障をきたすことがありますので治療中や治療後にいつもと違う症状を感じたら医師や薬剤師、看護師、がん支援相談センターなどへ相談してください。

がん相談支援センター一覧表（excel）

薬物療法薬の副作用一覧

放射線治療

放射線治療はがん細胞の特有なDNAに作用し、がん細胞を死滅させる、腫瘍の成長を遅らせたり、あるいは縮小させるために放射線を使用する治療法です。また、がんの根治を目指す以外にも外科手術と組み合わせてがんの再発を予防したり、がん症状を緩和（除痛効果や止血、狭窄の改善等）したりすることを目的として行うこともあります。がんに侵された臓器の機能と形態の温存が出来ますし、がんの局所療法であるため全身的な影響が少なく、高齢者にも適応できる患者にやさしいがん治療法です。

　現在、治療用放射線としては、X線、電子線、陽子線、重粒子線、αアルファ線、βベータ線、γガンマ線、中性子線などが用いられています。

• 陽子線治療は水素の原子核（陽子）を加速してエネルギーを高めてできる陽子線を治療に使います。陽子線治療は陽子線が持つその物理的特性によって、治療効果が高く、体への負担や副作用が軽いという特徴があります。
• 重粒子線治療は炭素の原子核を光速の約70～80％にまで加速し、これをがん細胞にぶつけることで、がん細胞のDNAを傷つけ、増殖させないようにして死滅させるという治療法です。重粒子線は、人の体内に入ると、放射線量が低いままの状態で、標的のがん細胞のところまで進んでいきます。ある一定の深さで急に線量が高くなるピークがあり、これを「ブラッグ・ピーク」と呼んでいます。重粒子線はブラッグ・ピークに達すると、そこより深い部分にまでは進まないという設定ができます。そのため、正常細胞へのダメージを低く抑えることができます。

※重粒子とは、炭素イオンのことを指し、目に見えない微細な粒子です。

	重粒子線	陽子線
がん細胞への作用	直接作用　100 keV/μm （高LET放射線）	間接作用　1 keV/μm （低LET放射線）
治療の際の前提条件	・病巣が限局して広範囲でないこと ・治療対象部位に放射線治療を受けていないこと ・安静な状態で30分間（目安）横になっていられること
治療対象がん	無関係に動く胃のような臓器と、袋状の臓器のがん、血液のがん（白血病など）、広範囲に転移したがん、過去に放射線治療を受けたがん、最大径が15cmを超えたがん	頭頸部、脳腫瘍、肺、肝臓、前立腺、膀胱、食道、膵臓などの原発性がんに加え、直腸がん術後の骨盤内再発や、単発性の転移性腫瘍（肝転移、肺転移、リンパ節転移）、小児がん（白血病を除く）、骨軟部腫瘍
副作用	頭頚部がん、肺がん、肝がん、膵がん、子宮がん、直腸がん（骨盤内再発）、前立腺がん、骨軟部腫瘍、眼球腫瘍、涙腺がん、食道がん	陽子線を照射した部位の皮膚炎や、周辺臓器の炎症が出る場合がある。 小児の場合晩期障害の可能性あり

粒子線治療施設一覧

内視鏡治療

内視鏡とは、内視鏡治療とは　軟性の内視鏡を入れることによって、外科手術をせずに体の中から病変を削り取るイメージの外科治療です。内視鏡治療のメリットは臓器を残せること、非侵襲的な（体の負担が小さい）ことです。

そして、消化管にできたがんの内視鏡治療には、内視鏡的ポリープ切除術（ポリペクトミー）、内視鏡的粘膜切除術（EMR）、内視鏡的粘膜下層剥離術（ESD）、経尿道的膀胱腫瘍切除術（TUR-Bt）の４つの方法があります。

・内視鏡的ポリープ切除術（ポリペクトミー）キノコのような形に盛り上がった茎があるがんに対する治療です。内視鏡の先端からスネアと呼ばれる輪状の細いワイヤーを出し、スネアを病変の茎にかけて締め付けて高周波電流で焼き切ります。なお最近では、前がん病変と呼ばれるがんになる前の段階の病変に対しては高周波電流を使わずにそのままスネアで病変を切り取るコールドポリペクトミーという方法で行うこともあります。

・内視鏡的粘膜切除術（EMR）は病変に茎がなく、盛り上がりがなだらかな場合に多く用いられます。このような病変はスネアが掛けにくいため病変の下に生理食塩水などを注入してからスネアと呼ばれる輪状の細いワイヤーをかけ病変を絞め付けながら高周波電流で焼き切ります。

・内視鏡的粘膜下層剥離術（ESD）は腸カメラでがんの周辺と病変下部に、がんを浮きあがらせるために、生理食塩水やヒアルロン酸ナトリウムの注射を行います。がんが十分に浮き上がった後、がんの周りを電気メスで少しずつ切除します。その後、がんの取り残しがないように粘膜下層をはぎ取り（剥離し）ます。

・経尿道的膀胱腫瘍切除術（TUR-Bt）は膀胱がんに対する内視鏡的切除術です。実際には、腰椎麻酔（下半身麻酔ともいいます）若しくは全身麻酔をおこない尿道から手術用内視鏡を挿入し、病巣部を電気メスで切除します。

	メリット	デメリット	手術方法
食道がん	・開腹手術よりも体にかかる負担は小さい ・社会復帰が早い	・すべての腫瘍が対象になるわけではない ・再手術を必要とすることがある 　（開腹手術が必要になることもある） ・出血や膀胱の壁に穴が開く（合併症リスク） ・内視鏡の熟練者がいないといけない ・早期がん、初期がんが治療対象	内視鏡的粘膜切除術（EMR） 内視鏡的粘膜下層剥離術（ESD）
胃がん
十二指腸がん
大腸がん			内視鏡的ポリープ切除術（ポリペクトミー） 内視鏡的粘膜切除術（EMR） 内視鏡的粘膜下層剥離術（ESD）
膀胱がん			経尿道的膀胱腫瘍切除（TUR-Bt）

造血幹細胞移植

がんに対して一般的に行われる抗がん剤治療（化学療法）や放射線治療だけでは治すのが難しい血液疾患（主に血液がん、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫など）に対して完治を目指して行われる治療法のひとつです。通常の治療法に比べて、非常に強い副作用や合併症を生じることもあります。造血幹細胞移植では大量の化学療法や全身への放射線治療などからなる移植前処置のあとに、自分またはドナーから事前に採取した造血幹細胞を点滴で投与します。

移植前処置

フル移植は骨髄破壊的移植とも呼ばれる方法です。移植前処置として全身への放射線治療や大量の化学療法を行うのが特徴で、重大な副作用や合併症のリスクがあるため、実施には制限及び慎重な判断が必要です。対象となるのは50歳から55歳以下、全身状態が良好なケースのみとなります。

骨髄非破壊的移植（ミニ移植）はフル移植に比べて弱い移植前処置を行ってから造血幹細胞を投与する方法です。

移植の種類

自家移植（自家造血幹細胞移植）は患者自身の造血幹細胞をあらかじめ採取・保存しておき、大量化学療法による移植前処置後に投与する方法です

同種移植（同種造血幹細胞移植）はドナーから提供された造血幹細胞を移植する方法です。移植前処置として化学療法や放射線治療を行ったあとに、造血幹細胞を移植します。

移植に使用する細胞

骨髄移植は骨髄から造血幹細胞を採取して移植を行う方法です。骨髄液は、腰のあたりにある腸骨という骨から採取されます。

末梢血幹細胞移植は血液中の造血幹細胞を移植する方法です。顆粒球コロニー刺激因子（G-CSF）を投与して血液中に流れ出した造血幹細胞を血球成分分離装置という機械を用いて採取します。

臍帯血移植は臍帯（へその緒）に含まれる血液である臍帯血（さいたいけつ）に含まれている造血幹細胞を採取して移植する方法です。臍帯血はドナーとなった妊婦から分娩後に採取します。

造血幹細胞移植の種類、メリット・デメリット

	移植前処置		移植
	フル移植 （髄破壊的移植）	ミニ移植 （骨髄非破壊的移植）	自家移植 （自家造血幹細胞移植）	同種移植 （同種造血幹細胞移植）
メリット	高い抗腫瘍効果が得られる	副作用や合併症のリスクが少ない 高齢者や臓器障害にも適用できる	拒絶反応の心配がない	移植片対白血病効果（GVL効果）は期待できる
デメリット	重大な副作用や合併症などリスク 適用できる患者が限定的	抗腫瘍効果や免疫抑制効果が低い	移植片対白血病効果（GVL効果）は期待できない	移植片対宿主病（GVHD）リスク 免疫不全による感染症リスク

移植に使用する細胞

	骨髄移植	末梢血幹細胞移植	臍帯血移植
メリット	1回の骨髄液採取で移植に必要な造血幹細胞を確保できる	ドナーの負担が小さい	ドナーへの負担が少ない 提供の申請から時間をかけずに入手できる
デメリット	事前に自己血貯血の必要がある 採取時ドナーの負担が大きい	採取前顆粒球コロニー刺激因子（G-CSF）の投与必要 1回の処置で必要な細胞数を確保できないことがある 慢性GVHDが多く見られる	採取できる造血幹細胞の量が少ない 好中球の生着までに時間がかかる

免疫療法

免疫療法とは免疫の力を利用してがんを攻撃する治療法です

免疫とは細菌やウイルスなどの異物が体に入ってくるのを防いだり、排除したりして体を守る力です。代表的な製品はがん治療に使用されている「免疫チェックポイント阻害薬」です。ただし治療効果や安全性が科学的に証明された「効果が証明された免疫療法」と、治療効果や安全性が科学的に証明されていない「効果が証明されていない免疫療法」があります。

従ってトライするかどうかは自己判断になります。

しかしながらがんに罹患した方は様々な治療をお探しになると思います。弊社で気になった免疫療法について下記の通り掲載します。

※免疫療法

樹状細胞ワクチン療法（東京ミッドタウンクリニック、プレシジョンクリニック、株式会社理研免疫再生医学）
https://www.midtown-amc.jp/lp_fac/index_y_ab.html?utm_source=yahoo&utm_medium=cpc&utm_term=%E5%85%8D%E7%96%AB%E7%99%82%E6%B3%95_campaign=senzai&yclid=YSS.1001104443.EAIaIQobChMIxfC8paiGgAMVLPpMAh2u1Qo9EAAYAiAAEgLsN_D_BwE

プレシジョンクリニック
https://precisionclinic.jp/lp/tokyo/gan/

株式会社理研免疫再生医学
https://riken-nkt.jp/lp-y/?yclid=YSS.1001272174.EAIaIQobChMI07H74qqGgAMViwZ7Bx32DgibEAAYAyAAEgKo0_D_BwE

六種複合免疫療法（株式会社 同仁がん免疫研究所）
https://gan911.com/lp/?utm_source=yahoo&utm_medium=cpc&utm_campaign=generalsyukyaku&yclid=YSS.1001097019.EAIaIQobChMI07H74qqGgAMViwZ7Bx32DgibEAAYBCAAEgLTp_D_BwE

がんゲノム医療

がんの遺伝子を検査して主にがんの組織を用いて多数の遺伝子を同時に調べ、遺伝子変異を明らかにすることにより特定のがんの診断や追加治療の必要性の検討や薬物治療（抗がん剤）の選択の補助に用いることにより一人一人の体質や病状に合わせて治療などを行うこれをがんのゲノム医療といいます。多数の遺伝子を同時に調べる検査である「がん遺伝子パネル検査」（がんゲノムプロファイリング検査）は、その一部が保険診療として、標準治療がないまたは終了したなどの条件を満たす場合に行われています

がんゲノム医療拠点病院一覧

がんゲノム医療提供体制におけるがんゲノム医療中核拠点病院等　一覧表

※がんゲノム医療中核拠点病院はがんをはじめとする様々な病気の遺伝子検査や治療法の選定などを担当する中心的な医療機関であり、研究や新薬開発，がんゲノム医療に携わる人材育成の役割も担います。

がんゲノム医療拠点病院等　一覧表

がんのリハビリテーション治療

がんになると、がんそのものによる痛みや食欲低下、だるさ、息苦しさによって動けなくなって寝たきりになったり、手術や抗がん剤治療、放射線治療などによって身体の機能が損なわれたりすることがあります。さまざまな障害を抱えることで日常生活に支障をきたし、家事や仕事、学業などへの復帰も難しくなると生活の質（QOL）は著しく低下してしまいます。そのためにリハビリテーション医療が有用になっています。

がんのリハビリテーション医療の対象と種類

いつの時期からでも始められますが、出来るだけがんと診断を受けた直後から開始することがお勧めします。

がんそのものによる体の影響		骨への転移による痛み、骨折 脳腫瘍による麻痺や言語障害や嚥下障害 脊髄・脊椎腫瘍による麻痺や排便排尿障害 腫瘍が末梢神経を巻き込むことによるしびれや筋力の低下 悪液質（がんの組織がほかの正常組織が摂取しようとする栄養を奪ってしまう）による体の衰弱 がんによる認知機能の低下
がんの治療の過程で生じる体の影響	手術によるもの	胸やおなかの手術による肺炎などの合併症（呼吸リハビリテーション） 乳がんの手術によるリンパ浮腫、蜂窩織炎、肩関節の機能障害 頭頸部がん（鼻、口、あご、のど、耳などのがん）の手術による嚥下障害や発声障害 頭頸部がんの手術によって頸部リンパ節を切除した後に起こる肩関節の機能障害 腕や脚（四肢）のがんの手術による機能障害 腕や脚（四肢）を切断した場合（義手や義足を使ったリハビリテーション） 婦人科のがんや泌尿器のがんの手術後の排尿機能の障害
	薬物療法、放射線治療によるもの	・だるさ・倦怠感 ・しびれや筋力・体力の低下

リハビリテーション医療を受ける時期と病期別の目的

がんのリハビリテーションとは患者様はがんの治療中に全身の筋力低下や倦怠感などにより歩く事や、トイレを利用する、お風呂に入る等のセルフケアが上手くできず、精神的にも落ち込むことが少なくありません。しかしながらがんのリハビリテーション医療は診断された直後から始める「予防的リハビリテーション」、治療と並行して受ける「回復的リハビリテーション」、再発/転移の時期には「維持的リハビリテーション」、症状緩和を中心とした医療が行われるときには「緩和的リハビリテーション」と、がんの治療の時期に応じて、リハビリテーション医療の目的や役割が異なります。

がん診断直後（予防的）
がんと診断された直後から治療前に開始します。障害の予防を目的としています。

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治療開始時（回復的）
機能障害や、筋力や体力の低下をできる限り回復することを目的としています。

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再発・転移の時（維持的）
がんが増大し機能障害が進行しつつある人に対して運動能力の維持・改善を目的
としています。（不動・不活動の予防も含みます）

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症状緩和を中心とした医療が行われる時（緩和的）
ご本人の要望を尊重しながら、身体的、精神的、社会的にもクオリティ・オブ・ライフを高く保つことを目的としています。

在宅療養でのリハビリテーション医療

自宅で過ごすことを希望する人は、退院するときにリハビリテーション科医やリハビリテーションスタッフに身体機能の状態や自宅の環境などを評価してもらい、日常生活に必要な動作（ADL）を維持・向上するためのアドバイスを受けたり、在宅リハビリテーションのプログラムを組み立ててもらったりするとよいでしょう。ただし、体の状態は変化するため、継続的にリハビリテーション科医やリハビリテーションスタッフに関わってもらうことが望ましいです。自宅で過ごす場合にどのような制度を利用できるかについて、受診している病院に所属するメディカルソーシャルワーカー（MSW）やかかりつけ医、ケアマネジャーに相談してみましょう。市区町村役場の介護保険課で相談することもできます。

医療保険制度で通院リハビリテーションを受けたり、介護保険制度で訪問リハビリテーションや通所リハビリテーションを利用できたりする場合があります。

訪問リハビリテーションでは、理学療法士（PT）や作業療法士（OT）、言語聴覚士（ST）が定期的に自宅を訪問し、日常生活に必要な動作を行うための機能訓練をはじめ、さまざまな支援を行います。自宅でリハビリテーション医療を受けることは、気分転換になったり、「治療が続けられている」という安心感や達成感につながったりすることもあります。通所リハビリテーションでは、自宅まで迎えに来てもらえるメリットがあり、専門の設備を備えた施設でリハビリテーションが可能です。外出することで生活のメリハリや気分転換にもつながります。

リハビリテーション医療は、がんと診断された直後から、あらゆる状況に応じて行われるため、リハビリテーション医療を受ける場所もさまざまです。地域のがん診療連携拠点病院にあるがん相談支援センターでは、リハビリテーション医療に関するさまざまな疑問や悩みについて、相談することができます。

緩和ケア
https://kango.mynavi.jp/contents/nurseplus/career_skillup/20220215-2146198/

がん患者さんは、がん自体の症状のほか痛み、倦怠感などのさまざまな身体的な症状や落ち込み、悲しみなどの精神的な苦痛を経験します。「緩和ケア」はがんと診断されたときから行う身体的・精神的な苦痛をやわらげるためのケアです。

さまざまな専門スタッフがチームになって支えてくれます。（緩和ケアチーム）

がんサポートチームは診療を受けている患者さん・ご家族をサポートするだけでなく、その患者さんを担当する主治医や病棟看護師に対しても相談・支援を行なう多職種チームです。チームには医師、看護師、薬剤師、心理士、医療ソーシャルワーカー、管理栄養士、理学療法士・作業療法士、言語聴覚士、ソーシャルワーカーなどが関わっていきます。

緩和ケアを受ける場所

緩和ケアは通院しても入院しても、また自宅でも受けることができます。

通院の場合はすでに受診している医療機関の外来、もしくは緩和ケア外来を開設している医療機関もあります。

入院の場合

がんの治療のために入院する病棟（一般病棟）や緩和ケア病棟で受けることができます。一般病棟ではがんやがんの治療によるつらさを和らげるために担当の医師や看護師から緩和ケアを受けます。逆に緩和ケア病棟は緩和ケアに特化した病棟です。がんを治すことを目標にした治療（手術、薬物療法、放射線治療など）ではなく、がんの進行などに伴う体や心のつらさに対する専門的な緩和ケアを受けます。人工呼吸器の装着や心肺蘇生など、延命のための措置は行いません。一日のうちで眠っている時間がだんだん長くなり、自然な状態で最期を迎えられるよう見守ります。

緩和ケア病棟・ホスピス病棟を有している病院一覧（日本ホスピス緩和ケア協会　出典）
https://www.hpcj.org/what/pcu_list.pdf

在宅で緩和ケアを受ける

病院への通院が難しい方などは、医師の往診や訪問看護を受けながら、住み慣れた自宅で過ごすことができます。訪問の医師は病院の主治医と連携を図りながら、痛みの治療など必要な緩和ケアを行います。在宅療養を受けるには、訪問診療※や訪問看護、訪問介護、訪問入浴などの在宅でのサービスを整える必要がありますので受診している医療機関に相談する、在宅診療所へ相談する、ケアマネージャーに相談するなど相談すると連絡を取って調整してくれます。自宅で具合が悪くなったときには訪問診療医と相談して病院に入院することもできます。

緩和ケアに要する医療費

緩和ケアに要する医療費は「緩和ケアをどこで受けるか」によって異なります。日本では、原則として医療保険と介護保険を併用することは認められていません。ところが在宅で緩和ケアを受ける方の中には、医療サービス（鎮痛剤の投与など）と介護サービス（訪問入浴など）の両方を受ける方も大勢います。そのような方々のため、自宅で緩和ケアを受ける場合には、特例として医療保険と介護保険の併用が認められています。詳細は介護保険の専門家であるケアマネージャーまで相談してみましょう。緩和ケアは一般病棟に入院して受ける・緩和ケア病棟に入院して受ける・通院もしくは訪問で受けるという方法があります。なお、入院治療や訪問看護にかかる医療費は高額療養費制度の対象となっており一定額を超えた場合の費用（自己負担分）は返金されます。自己負担限度額は一人ひとりの状況によって異なるため、あらかじめ確認しておくとよいです。また、緩和ケアを提供する病棟は緩和ケア病棟・緩和ケアセンターだけでなく「ホスピス」も挙げられ、施設によってはホスピス緩和ケア病棟としている施設もあります。

	医療費
一般病棟に入院して 緩和ケアを受ける場合	緩和ケア診療加算を含む医療費 × 医療保険の自己負担率 + 食事療養費 （1食あたり460円）
緩和ケア病棟に入院して 緩和ケアを受ける場合	医療費 × 医療保険の自己負担率 × 入院日数 + 食事療養費 （1食あたり460円）
通院・訪問など 自宅で生活しながら緩和ケアを受ける	医療費 × 医療保険の自己負担率 × 入院日数 + 食事療養費 （1食あたり460円）

入院（入院・一般病棟の医療費について）

費用について
https://www.kanwacare.net/forpatient/howmuch/case01/
https://cccc-sc.jp/kanwa/hospice-chigai.html

ファミリーハウス一覧

臨床試験について

新しい薬を作るためにはまず様々な動物で安全性と効果を調べます。次に健康な方や患者さんに使っていただいて安全性と病気の治療に役立つかどうかを調べます。健康な方や患者さんを対象として薬の安全性や効果を調べる試験を臨床試験といいます。つまり厚生労働省から認可が下りる前の新しい診断法や治療法を臨床試験という形で患者様へ試みることです。その中で薬として厚生労働省に認可を受けるため臨床試験を治験といいます。治験には、大きく分けて第1相試験から第3相試験までの、3つのステップがあります。現在販売されている薬は多くの患者さんに参加いただいた治験によって安全性や効果が確認され厚生労働省の審査を受けて販売の承認が与えられたものです。

治験に参加することのメリットとデメリット

メリット	デメリット
より新しい治療法を受ける機会を得ることができる	予測しない副作用がみられたり、標準的な治療法よりも副作用の症状が重かったり、対処の仕方が難しい副作用が出たりする可能性もある
副作用等の早期対応のため、通常よりも多くの診察と検査を受けることがあるが医師は患者さんの体調の変化に気が付きやすく、より細やかな治療を行うことができる	すべての患者さんに有効とは限らない
将来の医療の進歩に貢献する	試験期間中は「くすりの候補」の有効性や安全性を確認するため、普段使用しているくすりが使えないことがある

その他各団体の臨床試験情報をご確認ください。

治験について（厚生労働省）
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/chiken.html

がんの治験をご存知ですか（国立がん研究センターがん対策情報センター）
https://ganjoho.jp/public/qa_links/brochure/leaflet/pdf/clinical_trial.pdf

臨床試験を検索する（がん情報サービス）
https://ct.ganjoho.jp/category/input

人道的見地から実施される治験について（独立行政法人医薬品医療機器総合機構）
https://www.pmda.go.jp/review-services/trials/0016.html

新薬の治験と臨床試験について（患者さん向け）（国立がん研究センター中央病院）
https://www.ncc.go.jp/jp/ncch/division/clinical_trial/info/clinical_trial/index.html

臨床研究情報ポータルサイト（国立保健医療科学院）
https://rctportal.niph.go.jp/

JCOG(日本臨床腫瘍グループ)
https://jcog.jp/general/index.html

治験情報（日本製薬工業協会 ）
https://www.jpma.or.jp/

海外の試験も含め治験情報検索（WHO国際臨床試験登録プラットフォーム(ICTRP)）
https://www.who.int/clinical-trials-registry-platform