コロナ以前からではありますが、病院経営状況は悪化しており現在も病院経営は大変な危機的状況です。これに関しては以前にもお伝えしております。少子高齢化、人口減少の時代に突入し、現在では物価上昇等の社会的要因による利益減少など様々な要因により病院経営は圧迫されていきます。

2024年の医療収支を考えるときに病院経営の総括として薬価等の引き下げも含めた改定、入院においては急性期一般病棟入院料の「重症度、医療・看護必要度」の該当患者割合が厳しくなったことなど、外来では生活習慣病関連の点数の見直しや処方箋料の引き下げなどが減収要因と結論付けている。その一方で給与費の負担増、物価高騰の影響などが医業費用の増加要因と考えている。

しかしながら、上記の要因は常にありうる要因です。我々が考える要因としては外来患者の延患者数の減少です。薬価の引き下げ、点数見直し、処方箋の引き下げ、人件費負担増などは毎年あることです。これは病院経営においては想定内と考えざるを得ません。つまり外来に患者が来院するということは次の入院、手術など様々な次の医業収益に繋げるための基本的プロセスです。外来患者が大きく減るが、入院が大きく上がることは大変考えにくいです。
延患者数の前年比

https://www.hospital.or.jp/site/news/file/1726530689.pdf
(出展:日本病院会)

https://www.wam.go.jp/hp/wp-content/uploads/hp_survey_202403.pdf
 (出展:独立行政法人福祉医療機構)

コロナ禍から始まった外来患者の受診控えから始まって、今度は物価上昇による実質的所得減少による受診控えが始まったと考えられます。おそらくこの現象は徐々に進行し人口減少の影響が出る2050年以降にさらに人口減少による相対的外来数減少と相まって影響が出ると思われます。これは入院患者数にも影響を及ぼすと考えられます。これは医院経営にも明らかな影響が出ると考えられるでしょう。

では2024年上期の病院経営状況を鑑み、この経営苦境を乗り切る方法とは?

病院経営を改善する策にはウルトラⅭのような作戦はありません。
要は3つです。

  1. 日本国内で病院費用を圧縮しながら収益を上げる
    病院費用を大幅に圧縮し収益を上げることは大変困難と言えますが、出来ないことではありません。すべての物品、医療機器等の製品に関する仕入れ及び価格をチェック、人件費の管理等オーソドックスではありますが、地道な活動は必須です。また収益に関しては診療科を精査し患者を集患できる体制に変換することです。
  2. 病院経営の舞台を日本国外へ求める
    海外は人口増加とともに、コロナ禍により医療体制の充実を切望している国が多数あります。そのような国へ病院、診療所を開業するもしくは病院、診療所へ投資することで諸外国の医療事業に参画するということは新たな舞台で日本の医療事業を諸外国へアピールすると同時に諸外国の医療を求めている患者を助けることにも繋がります。非常に意義のある活動であると考えられます。ただし慈善事業ではありませんので事業計画はしっかりと策定することが大変重要です。
  3. 国民皆保険の今後の在り方について
    今後医院開業、病院開業を目指す医師の皆様も医院経営、病院経営をすでに行っている医師の皆様も総じて言えることは前述したとおりこのままでは医業収益が下がることは自明の理だということです。日本の国民皆保険では保険料を納める現役世代の数が減少する一方で、給付を受ける機会が多い高齢者が増加しており、保険料は年々増大傾向にあります。その中で最大に懸念されることは人口減少社会での国民皆保険では素晴らしい医療に対する価値が歪められるかもしれないということです。例えば素晴らしいオペを患者様へ行ったとします。通常500万円の価値があるオペが現役世代の数が減少したため保険料が集まらずオペの手技料等の診療報酬が下げられてしまうこともあり得ます。ということは國人皆保険制度が医療機関の医業収益を圧迫することとなります。それでは良い医療が出来なくなってしまうことになりかねません。そこで国民皆保険制度と医療保険をミックスして使用していくことも視野に入れた議論が必要だと考えます。
    https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000377686.pdf
    (出展:厚生労働省)

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